ただの感想である。考察ではない!ネタバレ込み!!
📝 はじめに
どうも、宇宙兄弟の主人公のようにオッサンな隣の鈴木(@next_suzuki)です。
「宇宙兄弟 45巻」 の感想を書き残す。
📘 この巻について(概要)
物語の概要と、読んだ理由を簡単にまとめておく。
📖 あらすじ
宇宙空間に取り残された六太を、弟の日々人や皆が救おうと奮闘する。
💡 読んだ理由
約10年以上前に放送されたアニメを観てハマって以来、原作も読み続けている。
僕自身も二人兄弟の兄ということもあり、共感できる場面が多くて特にお気に入りの作品である。
前巻から約1年ぶりの発売。今回は時間に余裕があったので、44巻を読み返してから45巻に臨んだ。
そのおかげで、ストーリーもいつもよりしっかりと頭に入った気がしている。
💭 感想まとめ
シーン単位やキャラごとに感想を語る。
🌀読後の感想
- 巻を通して「死」というテーマが常にちらついていた。
- 人は死の直前に何を考えるのか?
- 次巻が最終巻ということもあって、物語の緊張感と絶望感という意味では、今回が最高潮だったのではないかと思う。
📖 各話ごとの感想
各話について語るよ。
📘 #413
最初にシャロンが登場したが、なぜこのタイミング?と思ったところで、場面が変わった。
宇宙をさまよう六太の姿。絶望の中で、シャロンのALSという病気の状況と自身の状況を重ねる描写。
自分が追い込まれると、知人の過去と無意識に重ねてしまうという感覚、なんだかすごく共感できた。
僕もつい最近、ある悩みで精神的に追い込まれた時に、昔の知人のことをふと思い出してしまった。同じように、立場や状況は違えど、感情としてリンクしてしまう部分があるんだろう。
ただ、六太が「おこがましい」と自戒したように、病気と自分の状況を重ねるのは、当事者に対して不遜な印象を与える可能性もある。難しいテーマだけど、この作品らしい丁寧な描写だった。
📕 #414
絶望の中で、六太の精神状態がさらに追い込まれていく。
ついにはヤンじいの過去の言葉を思い出して、揚げ足を取るように責める。本人はそんなつもりはないのだろうけど、自分の心の余裕が無くなると、他人の言葉に過剰に反応してしまう気持ちはよくわかる。
僕自身、過去に伯父から言われた「人は話せばわかる」という助言に対して、本当にそうなのか?と疑念を抱いてしまったことがある。悩んでいるときは、他人の言葉が鋭く刺さる。
この回では、宇宙空間にただ一人取り残された中での、六太の心情が深く掘り下げられていた。
現実には起こり得ない極限状態だけど、作者がこの心理描写をどう組み立てていったのか、とても興味深い。
六太がミイラになって博物館に飾られる未来を妄想するシーンは、イギリスの大英博物館で見たミイラたちを思い出してしまった。彼らもこんなことを考えていたのだろうか…いや、そんなわけない。
そんな自嘲気味のユーモアを交えつつ、ここでムラサキさんが動き出す。希望の兆しが見え始めた。
📗 #415
この回ではマスコミの姿勢が強調される。相変わらずクズっぷりというか、リアルというか。
作者がマスコミを嫌っているのか、それとも単にリアリティを求めての描写なのか、少し気になった。
テレビのインタビューもまさに「いかにも」な雰囲気。こういう事故や事件が起きたら、現実でも似たような報道がされそうで、生々しさがあった。
日々人には「寝ろ」と指示が出る。前回は寝ていたが、今回は精神的に張り詰めているはずの日々人が、本当にしっかり眠れるのか?この描写は何かの伏線なのだろうか…と少し構えてしまった。
📙 #416
少しずつ落ち着きを取り戻しつつある六太が、星空を見ながら独白する。
絶望の中で思い出すのは、かつてブライアンが語っていた言葉だった。
宇宙飛行士選抜試験の映像が、ここに来て効いてくる構成は秀逸だと思った。
何より、この極限状態で前を向こうとする六太の姿勢に驚かされるが、それ以上に、彼の中でブライアンが生き続けている存在感に圧倒された。
もはや教祖か神か、というレベルで六太の指針になっている。
過去の言葉が、現在の行動に繋がっていく。この作品の一貫したテーマのように思えた。
宇宙を「プール」に例える描写も印象的だった。別の本でも似たような比喩を見たことがあるけれど、なぜ人は宇宙をプールに例えるのだろう? そんな素朴な疑問も湧いた。
ムラサキさんの作戦が明らかに。まさかのブギー起用!
というか、このブギー、どんどん進化していないか? 初登場時は四足歩行だったのに、今や二足で歩き回って会話も可能。C-3POばりの進化っぷりだ…。
そして六太が宇宙空間から、自身が設計したシャロン月面天文台を見つける。
このシーンのために、六太を宇宙へ放ったのかもしれない。そんな気がしてしまうほど、印象的な場面だった。
📘 #417
日々人の時計がアップで描かれる。モデルはCASIOのF-01W。ハッキリとわかった。
宇宙兄弟のLINEアカウントからは、コラボ商品ばかりのお知らせが届いていたので、ついにCASIOとのコラボか?と思ったが、調べたら2019年に既に実施済みだった。疑ってごめんなさい。
ちなみにCASIOも兄弟で創業された企業らしく、宇宙兄弟と妙な共通点があるな…と思ったけど、まあ深読みしすぎか。
日々人は前巻では寝ていたが、今回はさすがに眠れないのでは…?と思ったけど、杞憂だった。しっかり寝てる。この弟は本当にブレない。
「使徒」という単語が登場。どうしても新世紀エヴァンゲリオンを思い出してしまって、肝心のメッセージが頭に入ってこなかった。反省である。
📕 #418
レーダーに六太を捉えた!と思いきや、汚れだった。じらし方がうまい。というか意地が悪い(笑)
再び訪れる絶望フェーズ。
そして、六太を心配するヤッサンがJAXAへ到着。どこから来て、どこに着いたのかは全く不明で物語と無関係だけど、地味に気になった。
📗 #419
冒頭で兄弟の過去エピソードが差し込まれる。これが後の展開への伏線か?
宇宙兄弟はこうした直前の伏線の入れ方が巧みで、読者への違和感もなく自然に物語が繋がっていく。こういう演出をずっと続けてきた作者の手腕は本当に凄いと思う。
どこかの海賊漫画みたいに「100巻越しに、実は伏線でした」みたいな後付け展開をしないのは、本当に評価できる。40巻以上描いてなお、破綻していないのはすごい。
六太が絶望の淵を越えた先に抱いたのは「感謝」だった。
登場人物たちが次々と回想されていく演出は、いかにも最終局面。ここで他の作品だったら死亡フラグになっていそうだが、宇宙兄弟はそういうベタな展開をしないと信じたい。
ただ、「あ、これヘルメット脱ぐな…?」と、一瞬でも思ってしまった自分がいる。宇宙空間で主人公が死ぬなんてありえないはずなのに、そう思わせるだけの描写が上手すぎる。
日々人が乗っている宇宙船の位置だけど、本来の位置だっけ?!読み返したけどよく理解できなかった。
📙 #420
再び宇宙飛行士選抜試験が回収される。
アズマさんの問いかけが、まさかここで効いてくるとは…。六太が口に出していたからこそ、この極限状態でも体が動いたんだろうな。
六太の笑顔が今まで見たことのない種類で、つい笑ってしまった。
もちろんギャグではない。けれど、嬉しさが爆発した結果のあの表情には、読んでるこっちもつられてしまう。
📘 #421
六太の視界が繰り返し歪む。
これは今後の伏線か? あるいは、限界ギリギリの精神・肉体状態をリアルに描いたものか?
寝不足で、ひとり宇宙空間をさまよっていたのだから、錯覚や視界の歪みが起きても不思議ではない。妙にリアルに感じられる描写だった。
そしてついに、日々人による六太の救出作戦がスタート。
周囲から最後のチャンスだと告げられた日々人は、協力してくれる人々に感謝の意を伝える。その姿は、まるで家族を代表して礼を述べているかのようだった。
兄のために動いてくれてありがとう。そんな気持ちがにじんでいた。
特別に強調されたセリフではなかったが、個人的にはとても印象に残る一コマだった。身内が危機に直面した時、人は自然とこういう言葉が出てくるのかもしれない。
物語は、ロープを投げる寸前で終わるのかと思いきや、しっかりと投げられ、その手が確かに掴まれる描写まで描かれていた。
結果をぼかして引っ張るような終わり方ではなかったのは、読者としては安心できた部分でもある。
とはいえ、六太の意識はまだ不確かで、片手でしかロープを掴めていない描写も残る。油断ならない、宇宙兄弟らしい緊張感が続いている。
🧑🤝🧑 キャラ別の感想
各キャラの感想をざっくり語る
六太
今巻を通じて「死」というものが常に描写に張りついていた。宇宙にはまだまだ危険が満ちていて、命をかけた挑戦であることが改めて示されたように思う。
宇宙飛行士は、やはり並の精神力では到底務まらない職業なのだと再確認した。だからこそ、あれだけの試験や訓練が必要になるのだろう。
普通だったら絶望に飲まれて、とうにヘルメットを脱いでしまっているような状況だった。
日々人
兄を助けようとする姿は、ただの弟ではなく、まるで命を賭けた戦士のようにも見えた。
日々人は、ブレない。この弟の軸の強さが物語全体の支柱にもなっていたように感じる。
🔮 おわりに・次巻への期待
ついに次巻で完結との告知があった。
ここ数年、「早く終わってほしいな」と思いながら読んでいたけれど、実際に終わると知ると、思いのほか寂しいものである。
こういう時、人間って本当にめんどくさい生き物だなと思う。
前巻(44巻)の発売日は2024年7月23日、そして今巻(45巻)は2025年7月23日。
この流れなら、最終巻も2026年7月23日になるのかもしれない。とはいえ、完結巻ということで、もう少し時間がかかるかもしれない。再来年になっても、気長に待とうと思う。
その間に、改めて1巻から読み返して、物語全体をゆっくり味わっておくのも良さそうだ。
最終巻がどんな締めくくりを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。