ただの感想である。考察ではない!超ネタバレ込み!!
📝 はじめに
どうも、宇宙兄弟の主人公みたいにオッサンな隣の鈴木(@next_suzuki)です。
今回は「宇宙兄弟 1巻」 の感想を書き残す。
📘 この巻について(概要)
物語の概要と、読んだ理由を簡単にまとめておく。
📖 あらすじ
リストラされたサラリーマンが、もう一度夢を追いかけて宇宙飛行士を目指す物語。
💡 読んだ理由
2012年に放送されたアニメを観てハマって以来、原作も追い続けている。
僕自身も二人兄弟の兄という立場なので、共感できる場面が多く、お気に入りの作品だ。
2025年現在、45巻まで発売済み。次の46巻で完結と発表された。残すはあと1冊…。
完結を前に、最後をより楽しむために1巻から読み直すことにした。
⚠️ 注意点
この記事は45巻までのネタバレを含む感想を書いている。
もし1巻から順番に、ネタバレなしで楽しみたい人はここで離脱を推奨する。
💭 感想まとめ
シーン単位やキャラごとに感想を語る。
🌀読後の感想
- キャラ作りが上手
- 主要キャラが最後までブレていない
📖 各話ごとの感想
各話について語るよ。
📘 #1
冒頭のくだりから「他の漫画とは違うな」と思った。
「おっさんの酒臭いため息」なんて台詞から始まる漫画は、なかなか無いだろう。
僕は普段「週刊少年ジャンプ」など少年誌ばかり読んでいるので、青年誌「モーニング」らしい始まり方が新鮮で面白かった。
#1のタイトルもよく見ると弟が先で兄が後。「主人公は六太で良いんだよな?!」と今さら疑念がわいた。45巻では二人で物語が進むので、実は「二人の物語」が正しいのかもしれない。
子供の頃のシーンで、UFOを見たときに3歳差なのに兄を肩車する日々人。強すぎだろw 六太が小柄だっただけかもしれないけど。
日々人の会見インタビューも印象的だった。物語の流れ的には理解できるけど、現実に聞いたら「何を言ってるんだろう?」と疑問に思うはずだ。後半に出てくる家族支援プログラムの場面も似たような感覚だった。まあ、漫画に細かいツッコミは無粋なんだけどね。
てか、「宇宙兄弟」系のネット記事を流し見していて知ってはいたけど、今は漫画のストーリー内の開始年と同じ2025年なんだな。
現実の今年と重なっているのは不思議な感覚だった。
車のデザインは漫画のほうがカッコいい。あんなタクシーは現実には走っていない(笑)。スマホも当時はガラケーで懐かしい。
そして、店員を気にしながらポテトをつまみ食いする六太。世間体を気にしつつ本能で動いてしまう、そんな人間臭さが六太らしい。
「兄とは弟より先に」というくだりは、兄である僕にはとても共感できた。先に生まれた以上、弟よりも先にやらねばならない──そんな妙な使命感を背負うのは、親のプレッシャーや、兄が先に経験するイベントの影響なのかもしれない。
このセリフに強く共感したのが、僕がこの漫画を読み続けてきた理由の一つかもしれない。
それから「火星に行く」との宣言。あれ?物語のゴールは火星なのか?と驚いた。45巻の現状では「月」で終わりそうだが、火星に行かなくてもいいのか?と疑問が残った。
📕 #2
六太をはじめ、登場人物の描かれ方が初期は劇画寄りだなと思った。
長編漫画ではお約束だけど「初期と後期で主人公の顔が違う!」は楽しみの一つである。
青年漫画誌だからサラリーマンっぽさが強調されていて、読者層に共感を与えやすい。今の柔らかい絵柄は、アニメ化されて幅広い層が読むようになったからか、丸みを帯びて優しいタッチに変わってきたのだろう。丸いほうが年齢や性別を問わず受け入れられやすいと思う。
ここでシャロンが登場する。さらっと目標が「火星」から「月」に変わっていて笑った。
「一番の金ピカはなに?」という問いかけ、そして六太を行動へ導くアドバイス。シャロンの数々の言葉は、宇宙兄弟の醍醐味の一つだろう。六太とシャロンの会話から出てくるセリフが好きで、この漫画を読んでいる人も多いはずだ。
青年誌らしく、シャロンの言葉が六太を通して読者のオッサンに突き刺さる。僕もその一人だった。何度も読んでいるのに今日も心に響いた。
シャロンの言葉に触れて「30代後半の僕にとって、一番の金ピカは何だろう?」と改めて考えさせられた。
シャロンの指導もうまい。「過去のあなたはやっていた」という声かけは、完全否定ではなく少し肯定を含んでいる。だから「過去にできていたなら今の自分でもできるはず」と思わせてくれる。
その言葉に感化されて進もうと決意する六太。
大事な一歩を踏み出したはずなのに、その直後のシーンでは30歳を過ぎたオッサンが風呂に入り、股間をアヒルのおもちゃで隠している。なんともシュールな場面である。
真面目な展開の直後に、くだけた描写を差し込む。この緩急によって「南波六太=ガチガチのエリートではなく、そこらにいそうな間抜けなオッサン」というキャラ像を作り上げているのだと思う。
でも、現実にはそこらのオッサンはJAXAの試験には通らないし、車の設計にも携わっていない。すごいことをしているのに、すごくなさそうに見せている。このキャラづくりの妙を改めて感じた。
さらにその直後、試験の検査で女医(看護師?)に顔を赤らめるシーンも描かれている。少しスケベで、ムッツリで、だらしない。そんなオッサン感を強調することで、六太というキャラづくりがより際立っているのだと思った。
📗 #3
大事な試験の日に、携帯電話をトイレに流す六太。
間抜けでおっちょこちょい、不運なオジサンというキャラ設定がさらに強化されたシーンだった。
さらにJAXAの面接試験では、神経質な一面も追加される。
椅子のネジを気にして、それを自分の人生のネジになぞらえる場面は「うまいな」と思わされた。宇宙と絡めたセリフを自然に織り交ぜるあたり、作者の巧みさを感じた。
ここで「真壁ケンジ」と「伊東せりか」が初登場する。
ケンジは日々人とも六太とも異なる、六太の“対極”にいるキャラだ。だらしなくくたびれたオッサンの六太に対して、同じ年齢ながら爽やかでスマートなおじさんとして描かれている。対照的なキャラを配置することで、六太の“ダメオッサン感”をより際立たせているのだと思った。
そして、せりかさんが26歳という設定には驚かされた。現実に当てはめると、6年の研修を経て24歳で医師になり、わずか2年で宇宙飛行士試験に挑戦している計算になる。まさにエリート中のエリートだよね。
ここで早くも、ヒロインとしての伏線がさりげなく張られているように感じた。
📙 #4
せりかさんを妄想する場面で、六太の“ちょっぴりスケベでムッツリなおじさん感”がさらに強調される。
その一方で、嫌味な受験生の発言に「そんな裏の手があるのか!」と驚いてしまう姿も描かれていた。ここでは、ずるいやり方に乗らず、むしろ真面目さを強めるキャラ付けがなされているように思った。
さらに「自分が一番不利」と考えてしまう六太。根っからのネガティブさが表れている。僕なら「不利」くらいまでは思うかもしれないけど、「一番」とまで思い込むことはない気がする(笑)。
大人になって振り返ると、ここまで極端にネガティブな人間はそう多くはいない。もちろん、表面に出さないだけで内心は同じように悩んでいる人もいるのだろうけど。
ただ、坂の一番下からスタートしても、なんだかんだで努力を重ねて少しずつ上に登っていく。そんな六太の成長の過程こそが、『宇宙兄弟』を読む楽しみのひとつなのだと改めて思った。
📘 #5
肺活量の試験で、自分をアピールする大事な場面。にもかかわらず、せりかさんに気を取られてチャンスを外してしまう六太。ここでも“マヌケでおっちょこちょい”なキャラが強調されていた。
さらにケンジにアドバイスをもらっても、なおネガティブ思考から抜け出せない。揺るぎないネガティブ主人公キャラ。こういう否定的な主人公像だからこそ、共感する読者が多いのかもしれない。
表面上は前向きに振る舞っていても、心の奥底では六太のようにネガティブさを抱えている人は少なくない。だからこそ、この物語は45巻まで支持され続けているのだと思った。
それにしても、せりかさんに宇宙服を覗かれるシーンは笑った。本人は恥ずかしさから、わざわざバスの時間を40分もずらして乗るあたり、謙虚でネガティブな六太らしさがよく出ていた。日々人だったら、気にせず同じバスに乗りそう(笑)。
ここで初めて、他人の心理描写が描かれる。せりかさんの視点で、お父さんと六太を重ねるシーン。完全にヒロイン候補のフラグを立てているように見えた。
そして最後の一コマに「せりかさんも覗いていた」というくだり。えっ、このシーンは描かれてなかったっけ?と思って確認したら、やはり原作漫画には無かった。僕の記憶違いで、実際はアニメ版に描かれていたのだと気づいた。アニメを確認したら、その場面がしっかり描かれていた。
📕 #6
面接の後、宇宙飛行士の写真に出会うシーン。
そこで六太が「予約」と言って写真にツバをつける場面には思わず笑ってしまった。
悪意があるわけではないけれど、どこか卑しいようなキャラ付けがされているのに気づく。ケンジのような真面目キャラや、パリピっぽいキャラなら絶対にやらない行動だろう。
しかも、この場面が後の巻で伏線として回収されるのだから、地味ながらも印象深い。
そしてNASAにいる日々人がスタッフへ「六太を呼びたい」と話す場面。
物語の流れとしては理解できるけれど、リアルに考えると「兄貴に会ったこともないスタッフに、そんなこと言う?」とツッコミたくなるシーンでもあった。
📗 #7
ケンジに「火星探索」の設定が出てきて驚いた。
ここも後の巻につながる伏線なんだな、と気づいた(何巻で回収されたのかは忘れてしまったけど…)。
そしてケンジの面接でのセリフが本当にすごい。
ケンジは31歳の設定だけど、今30代後半の僕にはあんなこと絶対に言えないw
このシーンでの六太のキャラ描写も良かった。
同い年のケンジの前では見栄を張るけど、内心ではめちゃくちゃ弱気。
その「表と裏」「天使と悪魔」が垣間見える。
でも結局、話の中では「シャンプーがちゃんと泡立つ」とかいうアホすぎる発言でめちゃくちゃ笑わせてくれる。
さらに数ページ後のコマで、面接中に「リンスも泡立ちます」まで言っていたことが判明して追い打ち。シャンプーだけでも十分アホなのに、リンスまで…どうしようもないくらいアホかよwww と爆笑した。
こうやって「見栄っ張りでおっちょこちょいなオッサン」という六太のキャラが際立っているのが、本当に魅力的だと思う。
📙 #8
やっとNASAで弟と再会する展開かと思いきや──。
冒頭でスーツにカウボーイハット姿のオッサンが「眠い」と言うだけで1ページを消費。ここで六太のマヌケキャラを描き出すあたり、本当にうまいなと思った。
でも逆に、その「マヌケ感」があるからこそ、これから舞台となるNASAという非日常の世界にも妙なリアリティが出ている気がする。
そして、ここでアポが登場。そういえば第1話の時点でもパグが出ていた。これも地味に伏線回収なのか?
犬の名前から弟・日々人の性格分析を始める六太には笑った。
さらに久々に再会した弟の家へ行き、部屋のチェックをしながら小言を連発。まるで小姑のようで怖すぎるwww
その異様さに「あれ、自分も無意識に弟に同じことをしていないか…?」と我に返ってしまった。
こうやって日々人を細かく指摘することで、日々人の大雑把な性格を浮き彫りにし、その対比として六太の神経質さを強調しているんだと思う。
さらに月の距離から「京都まで自転車で行った話」へとつながる。
あぁ、40巻以降のあのシーンって、このエピソードの伏線回収だったのか?!と気づいた。
弟に対して「自分はたぶん合格しないだろう」と本音を漏らす六太。
普通ならプライドが邪魔して言えないと思うけど、そこが兄弟の仲の良さなんだよな。
日々人の存在のせいで「日々人のお兄ちゃん」としか見られず、自分の価値を下げられてしまう六太。
それでも弟を認めているからこそ、こんな弱音を素直に吐けるのだと思う。
ただ、日々人に「つまらない」と指摘されて「もっと早く言えよ!」と責任転嫁してしまうあたりは、家族だからこその甘えが出ていて、兄弟らしい会話だと感じた。
これがケンジ相手なら「自分の努力不足」と自己責任に落ち着けてしまうんだろうなwww
でも、弟に「つまらない」と言われて、「もっと早く言えよ」と弟に責任転嫁してしまうのも、弟という家族の身内だから少し相手に甘えてしまう兄弟らしい会話?六太の人間らしさだな。と思った。
ちなみに、もしこれがケンジだったらどうだろう? と考えたら、ケンジに弟がいたとして同じことを言われても、きっと弟のせいにはせず「自分の努力不足だ」と自己責任に落ち着けそうだ
🧑🤝🧑 キャラ別の感想
各キャラの感想をざっくり語る
六太
カッコいいところゼロだなww
こうやって序盤に色々な六太が描かれたおかげで、
45巻に描かれているような「神経質だけど、ネガティブで、ちょっとムッツリスケベで、マヌケ?おっちょこちょい?」な六太が完成したんだな。と気づけた。
シャロン
六太の導きてとして描かれているね。
六太の心の支えであることがよく伝わってきた。
日々人
弟なのに、兄の六太より格上って感じだね。
サラリーマンを辞めて露頭に迷っている兄に比べて、かなり落ち着いているキャラとして描かれている。
六太の「兄が先にいく」の気持ち?指針?目標?新年?とは真逆で、兄が先に行くどころか、弟が先を言って、兄の手を引っ張ってくれてるよねw
この巻だけみると、兄が人生設計をしっかりしていないから、弟が人生設計をしっかりした。に見えなくもない。(でも別に、ただ一瞬の事件で退社しただけで六太も六太で立派な経歴なわけだが…)
🔮 おわりに
物語に驚き。というよりも、作品に気づきが会って良かった。