どうも、小説はあまり読まなくなった隣の鈴木(@next_suzuki)です。
「重力ピエロ」(著者: 伊坂 幸太郎さん) の感想。
ただの感想である。考察ではない!
あらすじ
連続放火事件の現場に残された落書きから事件の犯人を追う、兄弟の物語。
読んだ理由
デート相手が「伊坂幸太郎さんが好き」と言った。
好きな作品を聞いたら「重力ピエロ」と答えた。
そういえば学生時代に読んだな…?どんな本だったっけ…?!
覚えていた内容は、
- 兄弟の物語
- 最後に弟が血の繋がりがある父親を校庭で殺す
- 育ての父は最後に亡くなる
だったような気がする…。
記憶が薄い…。
過去に書いた読書感想文を読んでみた。
2008年05月の感想
事件の内容というよりも、縁起をやたら担ぎたがる弟・ストーカーな夏子さんなどのユニークな性格の登場人物。そして兄弟のいる私としては仲の良い兄弟の哲学的なジョークや名言を混ぜた会話や回顧話が面白かったく、読んでいて穏やかな気持ちになりました。弟の複雑な設定や人間のDNAや性などに書いてある部分を読んで個人的にいろいろと考えさせられました。最後は少しこれでいいのかな?と思う部分もありましたが、弟に乗せられている兄貴が兄弟なんてこんなもんかなw?と兄弟がいる私なりに思え面白かったです。
まったく思い出せない…。
縁起を担ぐ弟?ストーカーな夏子さん?なんのこった?!
僕は本当にこの本を読んだのか?!
過去の記憶を思い出すべく、10年以上ぶりに「重力ピエロ」を再読した!!
感想
久しぶりに小説を読んだけど、10年以上ぶりでも面白かった!!
最初の1文
「春が二階から落ちてきた」
引用:「重力ピエロ」 伊坂幸太郎/新潮社
一番最初の文章を読んで、
「あっ、絶対に重力ピエロは読んだことある!!」
と確信を得た!!
たった1文を読んだだけで、10年以上も前の記憶が蘇ったことにビックリした。
言葉ってスゴい!!
伊坂幸太郎さんの文章力はスゴい!!
芸術に触れたい
作中に色々な芸術家の名前が登場する。
ピカソ、ゴッホ、レンブラント、ジャン=リュック・ゴダールなどなど。
他にも絵の名前も登場する。
登場するたびに、どんな絵なんだろう?!と検索した。
絵をみるたびに、あー、美術館に行って絵が見たいな。
そんな欲求が触発される本だった。
調べていて、10年前との差に気づいたことがある。
10年前はパソコンで調べないといけないので、めんどくさかった。
調べるたびに読書のテンポが悪くなった。
しかし、今はスマホで瞬時に調べられる。
すぐに調べて、すぐに本に戻ることができた。
とても便利な時代になったことに気づけた。
家族愛
過去の思い出話しが、どれも心打たれた。
美術展、町内会、サーカス、競馬。
どれも心温まる家族の話だった。
とくに父親が弟に向ける言葉は、どれも愛に溢れていて素晴らしかった。
「NARUTO―ナルト―外伝~七代目火影と緋色の花つ月~」でも似たようなテーマがあったけど、
家族において「血縁」とは、そんなに重要ではない。と思う。
10年前の学生時代の僕はそんな考えはなかったけど、
30歳を過ぎた僕は価値観が変わった。
たぶん、大人になって社会に出て、いろいろな形の家族を観てきたからだろう。
だから、この父親の言葉が素直に今の僕の心には染みた。
レイプ
昔よりも嫌悪感を抱く自分に気づいた。
たぶん、僕の知人がレイプ犯で捕まったからかもしれない。
最初に読んだ時、学生時代の僕は、まだレイプの凶悪さを真剣に考えていなかった。
ファンタジーであるAVのようなフィクション程度にしか考えていなかった。
男性が性的な興奮を覚えることの一つくらいにしか、漠然としか考えていなかった。
被害者のことなんてチッとも考えてなかったんだと思う。
他人事だった。
でも、その後、知人がレイプ犯で逮捕された。
その知人の友達に、知人の話しを聞いて、とても嫌悪感を抱いた。
えっ、そんなのありえないだろ…。ドン引きだよ…。
そんな出来事があったせいか、
前よりもレイプという単語が他人事のようには思えなかった。
フィクションである小説の出来事とは思えなくなってしまったんだと思う。
前よりも重い小説に思えた。
それにしても、どうしてこんな重い小説をデートした女性は好きだったのだろうか?
レイプなんて、女性からしたら最悪な気がするんだが…。
またデートできたら理由を聞きたいなー。
兄弟の絆
前も良いな。とは思ったけど、
前回よりも素晴らしく良いな。と思った。
僕は兄弟ものの作品が好きだ。
- 宇宙兄弟
- 鋼の錬金術師
とかね。
あとはNARUTOやバガボンドとかも兄弟の絆があるので好き。
理由は、僕も弟がひとりいるから。
だから、主人公の気持ちはとても共感できる。
弟が兄についてくる。のは、
兄弟あるあるだよなね(笑
何度、弟を置いてけぼりにして、母親に怒られたことか…。
前回よりも素晴らしいな。と思えたのは、
僕が学生じゃなくて大人になったからだろう。
重力ピエロの主人公は社会人で、
おそらく僕と似たような年齢設定だと思う。
視点が働くサラリーマン。
会社の同期に頼ったり、会社の有給を気にしたり する。
学生時代に読んだ時は共感できなかった部分が、今回は共感できた。
兄弟の絆も大人になったからこそ感じるものがある。
弱っていく父親、社会で自立するための生活、
そんな環境で幼い時とは違う兄弟の会話。
そういう共感を受ける文章が以前よりも多かった。
弟が兄貴を「お守り」みたいに言っていたが、
たしかに兄弟とは、そういうお守りみたいななにかの絆があるよな。
僕も弟の前では、しっかりしなければ!!という気持ちになる。
「兄とは常に 弟の先を行ってなければならない それが兄としての務め」
引用: 「宇宙兄弟 1巻」小山宙哉/講談社
みたな気持ちはある。
まあ、実際は弟に先を越されてるんですけどね!!笑
おわりに
とても家族の絆に愛を感じる小説だった。
最近は自伝小説ばかりだったけど、
たまには小説も悪くないな。と、
少しだけ価値観を変えられた良い刺激を得た本だった。