3月のライオン 18巻 -感想- | 桐山くんの成長と島田八段の覚悟

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ただの感想である。考察ではない!ネタバレ込み!!

📝 はじめに

どうも、明るい物語より憂鬱になるような暗い物語が好きな隣の鈴木(@next_suzuki)です。
3月のライオン 18巻」 の感想を書き残す。


📘 この巻について(概要)

物語の概要と、読んだ理由を簡単にまとめておく。

📖 あらすじ

桐山くんVS 島田八段の対戦

💡 読んだ理由

この作品を知ったきっかけはアルバイトの先輩だった。

桐山くんみたいな性格の、ちょっと影のある先輩が貸してくれた。

ハチミツとクローバーが好きだったので、作者様(羽海野チカさん)の作品を読んでいる。

将棋も好きである。書いてある戦法がわかるわけではないけど、小学校時代は遊んだりした。

そんなわけで継続的に読んでいる。

⬅️ 前巻(17巻)の感想はこちら


💭 感想まとめ

シーン単位やキャラごとに感想を語る。

🌀読後の感想

  • 物語が1冊に上手にまとめられた巻だった。
  • 将棋が主な内容だった。
  • 何かを極めようとした人間だからこそ観える景色なんだろうな。
  • えっ、次で完結するの?という驚き。

📖 各話ごとの感想

各章の感想を書いていく。

以下で引用する章タイトルは『3月のライオン』(羽海野チカ 著)から引用。
感想・批評は僕自身のものである。

📘 #195

1年以上発売が空いているので、毎回思うわけだが、どこから始まるんだ?と思うわけだが、今回は屋上から始まった。

桐山くんと林田先生の屋上シーン。
学園モノといえば屋上。この漫画は将棋漫画と同時に学生漫画なんだな。と思い出させる。

屋上でカップヌードルとおにぎりを食べる二人。

冒頭から飯テロはやめてください(笑

僕は日中は育児と仕事で忙しいので、朝5時に早起きして、ご飯を食べずにこの本を読んでいた。
羽海野チカさんが描く食べ物は、とても美味しそうに見えるので、読んでいるとお腹が空いてくる。

村上春樹さんの小説も、料理の準備や調理の描写を読んでいるだけで猛烈にお腹が減ってくるのだが、羽海野チカさんの描写もそれに近い感覚を呼び起こす。

結果、朝から強烈な空腹に悩まされる羽目になった。

今回の学びとしては――羽海野チカさんの漫画と村上春樹さんの小説は、「空腹の状態で読むのは危険」だということだ。

📕 # 197-198

空き家と記憶から三日月堂の拡張計画を察知する桐山くん。
記憶をたどって、ファイルに貼られた不動産のラベルを思い出す描写が怖かった。まるでドラマで映像を巻き戻すシーンみたいだ。

将棋のプロって、こんな感じで常に頭の中が整理されている人ばかりなの?!笑

そして「どらオム☆サンド」が美味しそうすぎる!!
見たことのないお菓子だけど、これは実在するのかな?

ふと思い出したのが、テレビで漫画「名探偵コナン」の作者・青山剛昌先生が「漫画に描くトリックは自分で実際に試す」と語っていたこと。実際に試している映像まで流れていた。
羽海野チカ先生も、作中で登場するお菓子は本当にあるものなのか? それとも自分で作って試しているのか?と気になった。

また、桐山くんがお菓子を頑張って売る”ひなちゃん”の姿を見て「カッコいい」と感じる場面。
そういえば、自分は妻を「カッコいい」と思ったことが一度もないな…と気づいた(苦笑)

別に妻にカッコよさを求めているわけじゃないけど、じゃあ「カッコいいと思わない原因は何だ?」と、つい考えてしまった。
(まあ、妻も僕のことをカッコいいと思っていない気がするけどね(苦笑)

会いたい気持ちを抑えるために、お菓子作りに熱中するひなちゃんの姿は、子供らしくて微笑ましい。
読んでいてキュンキュンした

おじいちゃんの家の2階にする、なんてセリフもあったけど…本当に実現するのかな? それとも冗談だったのかな?笑

📗 #199

島田八段の真面目さ、芯の通ったキャラがよく描かれていた。

自分の対戦よりも、配達員さんの予定や落とし物をした人の心配をしてしまう。そんな性格が、桐山くん達に見せてきた「面倒見の良い島田さん」を思い出させる。

それにしても、ふと冷静に考えると「八段なのに、なんでこんなボロい家に住んでるんだ?」と思ってしまった。
彼女と暮らした思い出の場所だから?
田舎が懐かしいから?(いや、田舎だって綺麗な家はあるだろうから、この考えはちょっと失礼かもしれないけど…)

毎朝同じ朝飯でも嫌じゃない、という心理描写には共感した。僕も毎日同じものを食べていて、落ち着くからだ。まあ、人間って基本的に変化を嫌う生き物だからね。

でも、ふと気づいた。これって「島田さんみたいなオッサンに自分もなっている」証拠なのでは?!笑

📙 #200-206

桐山くんの怒る表情は、島田さんが桐山くんを挑発したからでも翻弄したからでもなく、単に作者の羽海野チカさんが「そういう表情を描いてみたかった」からなのでは?と思った。
…悪党は島田さんではなく、羽海野チカ先生ご本人でしょ!!笑

「小学生時代の桐山くんのほうが大人だった」という解説には思わず吹き出してしまった。
もはや島田さんはお兄さんというより、お父さん目線に近い存在に見えてくる。

「静かな鬼」と表現されていた部分は、直前に映画『鬼滅の刃』を観たせいで愈史郎の姿が頭に浮かんでしまった。連想ゲームみたいだけど、不思議と“静かな鬼の島田さん”というイメージにも違和感がなかった。

勝負の世界での葛藤は、平凡な僕には正直よくわからなかった。
ただ、多大なものを犠牲にして、勝ちに全てを捧げるキャラたちの心情には強く惹き込まれる。

海の上に無数の将棋盤が並び、それが次々と崩れていくシーンがとても印象的だった。
あれは「過去に踏みしめてきた盤が崩れている」のか、それとも「これから進もうとした先が崩れている」のか…。過去と未来、どちらを示しているのか考えながら読んだ。
(読み返したら、将棋盤が崩れる前のシーンがあったので、これはやはり「過去が崩れていく」描写なんだと理解できた。)

ゾーンに入った島田さんと初めて対峙し、桐山くんは本当の勝負師としての島田さんに気づく。
これは桐山くん自身の成長、強さの証なんだろう。

そして追い詰められた時に浮かんだのが「ひなちゃん」の姿。
ここで気づいた。島田さんと桐山くんは対比になっているのだと。
彼女を失ってなお将棋に挑み続ける島田八段と、彼女を得て支えにしながら将棋を指す桐山くん。二人の違いが際立っていた。

島田さんが駅のホームへ向かう描写も印象的だった。18巻の島田八段は本当にカッコよかった。
それにしても、人はなぜ「人生の終着点」を駅やホームで例えるのだろう?
身近で誰もが知る場所だからこそ、人生の節目を描く比喩に使いやすいのかもしれない。

都心に行った時に実際に見た景色が重なり、駅や線路の描写を鮮明に思い出せた。
でも、この土地を知らない人はどんな風にこのシーンを読んでいるのだろう?とふと興味が湧いた。

📘 #207

島田八段が桐山くんとの戦いに抱いた心情を吐露する回。

持ち時間57分のペナルティが勝敗に響いたかもしれないけれど、それすらも「後悔しない」と受け入れる姿勢が印象的だった。
過去の自分の選択を認めるというのは、強い人にしかできないことだと思う。

切羽詰まった時にこそ、自分の軸を曲げずに信じ抜くこと。
諦めずに続けること。
そうした積み重ねが「強さ」の正体なのかもしれないと感じた。

切羽詰まった時こそ、自分の軸を変えずに自分を信じて生きること。
そして、諦めずに継続すること。
それこそが、強い人の「強さ」の正体なのかもしれないと感じた。

📕 # 208

「指運」という言葉を初めて知った。意味を理解して「なるほど」と納得。

勝ったのに全然晴れやかな気持ちにならないのが、いかにも『3月のライオン』らしい。ネガティブな余韻が残るのに、それが逆にこの作品の魅力でもある。

そして、桐山くんの心情を誰よりも理解するひなちゃん。
もう彼女を超えて、半ば「妻」ポジションなんじゃないかと笑ってしまった。

桐山くんにとって、天才的でちょっと変わった自分を「普通の人」モードに変えてくれる存在。
それが、ひなちゃんの特別な役割なんだろうなと思った。

🧑‍🤝‍🧑 キャラ別の感想

各キャラの感想をざっくり語る

桐山くん

前巻からの犬キャラ設定が続いていて笑ってしまった。
物語当初の陰キャからは大きく変化していて、正直もうどんなキャラなのかよくわからない。勝負師としての顔を除けば、人の温かみを知って、すっかり「普通の人」になってしまった気がする。


🔮 おわりに・次巻への期待

作者様のあとがきを読んで驚いた。はあ、、、なんと次巻でクライマックスなの?!
この物語は何も解決していないような気がするんだけどな…!?

でも、何かを解決しないといけない。なんてルールもないからな。そもそもどこ目指していたのか未だに全然よくわからない!!(苦笑

そういえばXで見かけて気づいたのだが、作者様は60歳なんですね。
年齢を考えると、「終わらせられるうちに、自分で終わらせたい」という作者様の気持ちはすごく理解できる。
というのも、僕自身まだ全然若いはずなのに、年々できることのスピードが遅くなっているのを実感しているからだ。だから、年齢を重ねた作者様ならなおさらだろうな。

最終巻は2026年を超えて2027年になりそうな気がするけど、それでも楽しみに待ちたい。

やっぱり『3月のライオン』を読むと、精神が削られるような感覚がある。でも、その消耗感がなぜか楽しくてたまらない。久しぶりに読んで、そのことを改めて実感した。


📚 関連リンク
⬅️ 前巻(17巻)の感想はこちら


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